ネリマ人の日記

十代の頃、バンドの追っかけをしていました。ツアー中は絶対に半通、もしくは全通をしていました。飛行機、電車、夜行バス……使える公共機関の乗り物をすべて使って地方公演にも足を必ず運びました。すべては大好きなバンドのライブに行くためです。ライブは私の生きがいで、まさに人生そのものです。けれど、時のながれでしょうか。私自身の趣味も変わり、バンドの音楽性もかわってしまい、私はしばらくライブとは無縁の世界で生きていました。ひさしぶりに行ってみようと思ったのは、追っかけをしていた当時のコンセプトでライブをすると知ったからです。これはいかないわけには行きません。チケットをとって、当時着ていた服を着て、精一杯おしゃれしました。バンドを追いかけていた時にタイムスリップをしていました。たどり着いた大きな会場には人の多さです。まるで某アニメの有名なセリフが頭に浮かびました。私が追いかけていた時は、小さなライブハウスで観客はたったの五人です。それが、いまは一万人を超えるお客さんの数です。年齢層も老若男女、さまざまでした。おなじライブをみていた友達と久々の再会もしました。まるで、ライブという名の同窓会です。会場に入り、ひさしぶりにみる彼らの姿に、懐かしくて涙が溢れました。当時聴いていた音楽をまたライブ会場で聴けるなんて、夢のようです。一曲目はバラードでもないのに涙があふれ、ボロボロと泣きながら腕を振り上げました。飛び跳ねて、コールアンドレスポンスもして、バンドの音楽に身を預けました。楽しかった時間はあっという間でした。この時間が永遠に続けばいいのに願いました。もうバンドの追っかけをすることは二度とないでしょうが、若かった私は彼らのバンドを追いかけることができて、再び彼らの音楽を聴けて本当に幸せでした。